学術会議素核理論分野委員(二宮正夫+岡真)20110319素粒子論グループの皆様
永宮氏の許可を得て、添付の学術会議における田中俊一氏の学術会議の緊急集会における講演のpptファイルおよび関連するコメントを転送致します。
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永宮正治20110319物理学関係の皆様
添付にて、田中俊一さんが一昨日(18日)の学術会議で話された講演をお送りします。田中さんは、私共と一緒にJ-PARCを推進してきた人ですが、原子力の専門家で、今回のことに対して、15日には両陛下に対して説明をされ、18日には学術会議の緊急集会の冒頭で話されました。添付しますのは、学術会議における資料です。田中さんは、昔のJCO事故でその解決に大活躍され、NHKでもその仔細が報道されました。その後、原子力委員も務められた方です。
今回のこの発表は分かりやすく書かれていますので配布しますが、過激なことも書かれています。それに対しての仔細な議論をするのではなく、大筋をつかんでいただければと思います。なお、MITの報告がありますが、それに対する田中さんのコメントも以下に付します。
追:MITのレポートを送った後の田中さんの反応:
MITのレポートで、溶融しても水の中に落ちる図がありますが、水が無くなって溶融するのですから、このようなことにはならないのです。また、SF燃料プールは、外気に晒されている状況で格納容器はありませんので、チェルノブイリと同じです。
炉の中のインベントリーは、確かに格納容器の内部に閉じ込められているので、これを破壊しないことが何より大事であると申し上げました。
TMI事故のとき、NRCがもっとも心配したのは水素爆発による格納容器の破壊でした。破壊を避けるため、あえて一部の放射能が環境にでることを覚悟で格納容器のベントをしたというのが1979年の事実です(両陛下にもこのことを申し上げました)。こうした、ことを学んでいれば、次々と水素爆発を繰り返す愚は避けられたのではないかと思っています。
燃料プールの危険は、原子力安全基盤機構(JNES)の方が指摘していたのに、官邸が仕切っているから保安院から対策本部に伝わらず、無視されていたそうです。
つまり、これほどの事故に拡大したのは、官邸と東電という限られたところでの判断に原因があるのです。現状では、この先も何が起るのかわかりません。いろんな意見がでることは宜しいのですが、私の主旨は、専門家の知恵を集めて、この事態を乗り越える必要があるということです。
平成23年3月18日 田中俊一
炉型 | 出力(万kWe) | 運転開始年月日 | |
---|---|---|---|
1号機 | BWR | 46.0 | 1971.03.26 |
2号機 | BWR | 78.4 | 1974.07.18 |
3号機 | BWR | 78.4 | 1976.03.27 |
4号機 | BWR | 78.4 | 1978.10.12 |
5号機 | BWR | 78.4 | 1978.04.18 |
6号機 | BWR | 110.0 | 1979.10.24 |
格納容器の現状の健全性を破壊しないように、水素ガスの蓄積、水蒸気による圧力上昇を制御しつつ、圧力容器の圧力を下げ、容器内に十分な冷却水を注入し、100℃以下の冷態停止にすること。
さらに、燃料の冷却は継続する必要があり、そのためには、通常の冷却システムを早急に復帰させることが必要となる。
使用済燃料が空気中にむき出しになると、Zr-水反応により、発熱とともに水素が発生。さらに、水がなくなるとZr-空気反応により、温度が急上昇し、燃料被覆管、ウラン燃料が溶け、燃料中のFP'sが放出され、重大な汚染が生じることになる。
従って、プール水が減り、燃料がむき出しになることは絶対に避けなければいけないため、現地では、ヘリや放水車を使っての水の補給をトライ。
仮に、こうした方法で水の補給ができても、SFプールの水は、循環・冷却を継続することが必要であり、本来のシステムを復旧させることが必要である。
福島原発4基からの放射能放出の最大ケースについて、ある気象条件で評価 | ||||
距離(マイル) | 1 | 7 | 20 | 50 |
km | (1.61) | (11.27) | (32.2) | (80.5) |
全線量(mSv) | 15000 | 750 | 130 | 99 |
甲状腺線量(mSv) | 79000 | 2100 | 700 | 480 |
この値は、一定の仮定のもとでの計算で、実際の放出に基づくものではない。
各所でモニタリングされた放射線量(核種)、及びSPEEDIによる評価の公表
SPEEDIによる
⇒これまで放出された放射能の分布と被曝線量の評価
⇒今後、予想される最悪の事態が起った場合の放射能の分布と被曝線量を住民に提示し、避難、退避の理解を求めるべき
現在の状況は極めて深刻である。東電、原子力・安全保安院だけでは解決が不可能である。国の全ての知恵と能力を結集することが必要である。
各省、各政府機関、研究機関、民間、専門家の能力が一元的に機能していない。政府は、あらゆる知恵と能力を活用できる体制を早急に構築し、緊急事態に対処すべき。
Mitigation策については、保安院+東電が主導しているか、官邸が主導しているのか、ともかく安全委員会は蚊帳の外のようですので、安全委員会に向けて働きかけても効果が無いようです。先ほどS教授から電話があり、この点について似たような話になりました。
保安院がMitigation策を主導しているのかも知れないが、声を届けようにもパスが開いていない、もともと役には立だないと思われていたJNESはまったく何もしていないらしいし、JAEAの専門家の声はどこにも届いていないのではないかと言われました。
水蒸気爆発を懸念してSFプールヘの放水を躊躇っていたという報道がありましたが、水蒸気爆発なんて100%有り得ず、判断によっているどこかにとんでもない人々が噛んでいるとしか思えません。