アラブ問題の阿部です。正当な民族の抵抗運動をテロ呼ばわりするのは、国連憲章の原則すら無視する全く恥知らずの謀略です。「制圧」「掃討」あるいは「テロ」などといった言葉も、さもアメリカの軍事行動が正義に基づくものだと言う観念を世界の人々の洗脳のために使おうという情報操作の典型的な実例です。その理由を列記します。
第2次大戦中、ドイツに占領されたフランスはレジスタンス運動を行って、祖国をナチドイツの手から奪い返しました。
中国も祖国を取り戻すために、毛沢東率いる中国共産党の抗日抵抗運動の力で、日本帝国主義から中国を解放しました。そして1949年に中華人民共和国が独立し、1972年に日中国交回復が実現したとき、北京を訪問した田中角栄首相は毛沢東主席に「貴方はテロリストだったのにとうとう元首になりましたね」と言うような無礼な言葉を口にしませんでした。
とにかくこの2人は、主権国家のイラクの大統領の暗殺を示唆したり、亡命を勧めるという非礼な超大国大統領や、それに腰巾着のように引っ付いていくどこかの国の首相とは比べものにならない格式の高い大人の政治家でした。
小泉首相の妄言は、あくまで日本国内の問題です。またこんな時代錯誤の恥知らずな言動とパーフォーマンスにたいして、首相を諌めない与党議員の劣化もさることながら、こうした無責任な政治を食い止められ得ない、いわゆる護憲勢力も反省する点が多々あります。民族の主権の尊重を主柱にした国連憲章、とりわけあと2年足らずで50週年記念を迎えるバンドン会議の決議などを振り返るべきです。主権尊重、平和共存、互恵平等といった平和5原則と言った、ガンジーの精神にもつながるアジアの英知を学び直す必要をすくなくとも小生は痛感しています。
「調査なくして発言権なし」とは毛沢東の名言でした。事実こそ一番大きな力を持っているのでし、イラクのことはイラク国民が最終的にきめるべきです。サダムフセインについては、スコットリッターも「イラク国民とサダムフセインとをきり離して考えるのは無責任だ」とのべていますし、メッキーさんのホームページで紹介頂いた小生の著『イラクとともに30年』もこのことを紹介しました。
最後にもう皆さんも読まれてことと思うけれど毎日新聞にのった記事を紹介します。
「サダム・フセイン(元イラク大統領)はやさしく思いやりのある人だった」
フセイン元大統領の公式通訳だったサマン・アブドル・マジド氏が13日、パリで記者会見し、「独裁者」の隠れた横顔を語った。マジド氏はフセイン元大統領と外国要人らとの会談にフランス語と英語の通訳として同席、その経験をつづった回顧録「サダム時代」をこのほど仏ファイヤールから出版した。マジド氏は元大統領について「イラクのために多くの良いことをしたと思う。外国の指導者やジャーナリストと会う時など、全員がくつろげるよう気を配っていた」と述懐。だが、その一方で「復権は不可能だ。解放されたイラク国民はもはや彼を支持しない」と断言した。マジド氏は現在、カタールに移住し、アラブ世界に影響力を持つ同国の衛星テレビ「アルジャジーラ」で働いている。(毎日新聞)[11月15日18時59分更新]
イラクと長いつきあいのあった小生はこれは事実だと思う。
阿部拝