強制連行された中国人が太平洋戦争末期、多数犠牲となった「花岡事件」を後世に伝える花岡平和記念館が17日、地元の秋田県大館市にオープンし、事件の生存者や遺族も参加して記念式典が行われた。
中国から訪れた生存者の李鉄垂さん(87)は「とてもうれしい。日中友好が長年の希望だった。六十数年前に生き延びたが、こういうことが実現するとは思わなかった」と涙ぐみながら話した。
戦時中の日本側の加害行為を記録する施設は全国でも珍しく、建設費用は全額市民からの募金という。建設した市民団体の川田繁幸理事長は「過去の事実と向き合う場としての役割を担ってほしい」とあいさつした。
この日は、霧雨の降る肌寒い空の下、市民ら約150人が見守る中で李さんや福島瑞穂内閣府特命担当相、佐竹敬久秋田県知事らがテープカット、一斉に拍手がわいた。
花岡事件は、鹿島組(現鹿島)花岡出張所に強制連行された中国人が劣悪な労働環境に耐えかねて蜂起。鎮圧され、死亡した中国人は400人以上とされる。(共同)