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西塔文子20050814緊急リリースDoctorsForIraq
WTI20050627良心の陪審員による予備的宣言 原文 訳文

西塔文子20050814緊急リリースDoctorsForIraq

広島の西塔です。イラク世界法廷のMLから次のような緊急リリースが送られてきました。ひどい事態ですが、テレビ・新聞等での報道はないように思います。これについての報道あるいは支援の呼びかけ等をご存知でしたら、お知らせいただけないでしょうか。

"イラク西部で続くアメリカ/イラク軍の攻撃による人道上の危機について Doctors For Iraq が緊急警告"

イラク西部のHaditha 、Rawa 、Parwana 、Heet で続くアメリカ/イラク軍の攻撃のため、この地域で緊急の健康上、人道上の危機が展開していると Doctors For Iraq は警告する。Haditha、Rawa、Parwanaは3週間の間アメリカ・イラク軍の攻撃にさらされているが、攻撃はここ2、3日激しさを増している。この地域の主要な病院は医療用酸素、sugerical kits(ブドウ糖?)、抗生物質、その他基礎的な医薬品の不足を報告している。市民たちは Ana などの近隣の町や村に溢れ出し、生きるための食料、水、避難所を必要としている。商店主はアメリカ/イラク軍の作戦のため店を開けることができず、緊急用の食糧を載せたトラックは包囲された地域に入るにあたって厳しい困難に直面している。

目撃者と医師は Doctors For Iraq に、包囲されたいくつかの都市で狙撃手たちが狙撃を行っていると語った。Haditha 病院はこの攻撃で少なくとも11人の市民が殺され、15人が負傷したと見積もっている。アメリカ軍はこの地域に救急車が入ること、医師たちが自由に活動することを妨害した。この地域は依然として包囲下にある。

アメリカの海兵隊は Rawa の町に侵攻して空爆を行い、多くの建物や家に爆弾を投下した。軍が作戦を行っているこの地域で、どれだけの市民が殺され、傷つけられたかは明らかでない。Parwana では学校の校舎が中に人々がいるときに爆撃された。中に何人の人がいたのか、それが誰であったのかは明らかでない。

Doctors For Iraq は医療援助がいくつかの病院に届くよう組織し、1医療チームを、攻撃を受けた地域に送っている。イラク西部における軍事行動は健康管理システムを麻痺させている。この地域の病院は人々のために十分な医療サービスを提供することが不可能になっている。新たな軍事攻撃がこの地域の人々の苦しみをさらに増している。

Doctors For Iraq は、アメリカ/イラク軍がこの地域において攻撃をただちに停止することを要求する。Doctors For Iraq は、市民を包囲して殺害し、医師が医療活動を行うのを妨害したという、ジュネーブ条約(Geneva Convention)の重大な違反について、独立した調査を要求する。この地域の病院に、緊急に医療上の必要物資を供給しなければならない。(西塔仮訳)


WTI20050627良心の陪審員による予備的宣言 原文 訳文

イラク世界法廷(WTI)イスタンブール2005年6月23日~27日

イスタンブール2005年6月27日

2003年2月、イラクに対して宣戦布告がなされる数週間前、世界中で何百万人もの民衆が街頭で抗議した。その訴えは聞き入れられることはなかった。国際機関も、米英政府の侵略に立ち上がる勇気も良心も持たなかった。誰も彼らを止められなかった。

それから2年経った今、イラクは侵略され、占領され、破壊された。イラクに対する攻撃は我々の正義、自由、安全、将来そして我々すべてに対する攻撃である。我ら、良心を持つ民衆は、立ち上がる決意をし、正義と平和な将来を要求するためにイラク世界法廷を組織した。

イラク世界法廷の正当性は人類の集団的良心にある。このイスタンブール法廷は、イラクへの不法な侵略と占領に焦点を絞って世界の様々な都市で20回にわたって開催された法廷活動の頂点である。

我々、良心の陪審員は、10カ国からイスタンブールに来て出会った。我々は、イラク、アメリカおよび英国を含む世界中から来た代弁者と目撃者54人から証言を聞いた。

イラク世界法廷は2005年6月24日から26日にかけてイスタンブールで開かれた。WTIの主要目的は、イラク戦争の真実をできるだけ明白に伝え、責任者の刑事責任を明白にし、イラクの人々のために正義の意義を強調する結論を引き出すことである。

サダム・フセインのイラク国民に対する犯罪はこの法廷の焦点ではない。我々は、独立した自由な法廷でこれらの犯罪を審査することはイラクの人々の責任であると信じる。

  1. 概説
    1. 2003年3月に、イラクの不法な侵略と占領のために米英政府が申し立てた理由は、虚偽であると判明した。実際の動機は、中東を支配し、優位に立つためであった。中東で主導権を確立することは、世界最大の石油埋蔵量を支配し、米国の戦略的な同盟国イスラエルの立場を強くすることに役立つ。
    2. イラクにある大量破壊兵器、およびアル・カーイダ・テロ組織とサダム・フセイン政権との関係についての見え透いた嘘が捏造され、主権独立国に対する「先制」攻撃への一般大衆からの支持を獲得しようとした。
    3. イラクは、長年包囲攻撃されていた。1991年の第一次湾岸戦争の終了と同時に課せられた厳しく非人間的な経済的制裁:イラクの北部と南部で設定された飛行禁止区域:それに伴って行われた国土にたいする爆撃はイラクの人的、物的資源とその能力を劣化させ、弱めることでその後の侵略と占領を容易にすることを目指していた。この企てに、米国と英国の指導者たちは、共犯である国連安全保障理事会の賛同を得ていた。
    4. この帝国という目的を追求する中で、ブッシュ大統領とブレア首相は、ずうずうしくも、世界中で何百万もの人々が表明した戦争に対する大規模な反対を無視した。かれらは、歴史上、最も不正で、最も不道徳的で、最も臆病者の戦争の最たるものの一つに乗り出したのだ。
    5. 過去27ヵ月に英米がイラクで行ったことは、イラクの国家と社会の破壊と荒廃をもたらした。法と秩序は完全に破壊し、治安は広範囲にわたって失われ、物理的インフラストラクチャーはずたずたになり、医療制度は混乱し、教育制度は機能しなくなり、環境と生態系が広く荒廃し、イラクの文化的遺産が冒涜された。
    6. 占領は、国家としてのイラクの同一性と規範を弱体化する目的で、意図的にイラク社会の民族的・宗教的に分裂させた。これはお馴染みの帝国の分裂支配の政策と一致したやり方である。
    7. 1991年の国連による経済制裁はいまだ語られない苦しみと何千人もの死を引き起こした。状況は占領後に一層悪化した。少なくとも10万人の民間人が死に6万人が容疑もないまま非人間的な状態で米軍により監禁されている。何千人もが行方不明になり、また、拷問は事実上日課となった。
    8. イラク経済の民営化、規制緩和および自由化はこの国を米政府の一致した意見に従属する経済に変えた。占領軍は、この国の石油に対する支配獲得という主要な目標を達成した。
    9. 占領の保護下で作成されたいかなる法律であれ機構であれ、法的権威と道徳的権威の双方が欠けている。したがって最近の選挙、憲法制定議会、現在の政府および憲法起草委員会は、すべて違法である。
    10. 占領に対する反対は広範囲にわたっている。平和的手段を使う政治的、社会的、市民的レジスタンスは占領軍によって抑圧される。強力な武力抵抗や絶望の行為へとイラク国民を駆り立てたのは占領軍の残酷さである。国連憲章と国際法で具体化された法則では、一般国民が占領に抵抗するのは正当であり、理にかなったことである。それは、どこにいても正義と自由を願う人々が支援する価値がある。
  2. 評決と罪状

    先行して明らかにされた事実に基づき、国連憲章およびこの文書の添付する他の法律文書を想起して、陪審員は次の罪状を確立した。

    1. 米国政府と英国政府に対して
      1. 国連憲章およびニュールンベルク諸原則に違反して侵略戦争という最大の犯罪を計画し、準備し、行ったこと。これを立証する証拠は、最近、判明した2002年7月23日付けダウニング街メモで、それは次のように言う。「今や、軍事行動は避けられないようだ。ブッシュはテロリズムとWMDとの関連付けで正当化して、軍事行動でサダムを失脚させたい。しかし、情報と事実は政策に合わせて仕組まれた。」故意に米国民、英国民と議員たちを偽るために情報が捏造された。
      2. イラクの民間人とイラクのインフラストラクチャーを標的にしたこと、1949年ジュネーブ条約、市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)、7条(1)(a)、8条(2)(a)(i)と8条(2)(b)(i)に違反して民間人、病院、医療センター、住宅地、発電所および浄水設備を対する故意の攻撃を指図した。ファルージャ市の完全な破壊事体が、そのような犯罪の顕著な一例である。
      3. 不均衡な殺戮力をもち、無差別攻撃を行う兵器の使用。クラスタ爆弾、焼夷弾、劣化ウラン(DU)弾および化学兵器のような兵器を言う。DU兵器の標的となった区域に住む5歳以下の子供たちの白血病が急激に増加したという詳細な証拠が鑑定人によって法廷へ提示された。
      4. 軍事活動の間とその後の占領期間中に民間人の生命を守らないこと。これは第4ジュネーブ条約、第13条および27条、ならびにICC規程の第7条(1)(a)および8条(2)(a)(i)に違反する。これは、例えば「衝撃と畏怖」爆撃手法やチェックポイントでの占領軍の行為が証拠となる。
      5. 平和的な抗議者に対して致命的な暴力を振るった。特にファルージャで平和的に抗議デモを行っていた12人ほどを2003年4月に殺害した。
      6. 集団処罰を含めて容疑や裁判なしでイラク市民を処罰すること。これは市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)、ジュネーブ条約、および適法手続きを要求する慣習国際法の違反である。証言で繰り返し指摘されたのは、「さっと捕まえ、さらって行く」作戦、失踪および暗殺であった。
      7. イラク人兵士と民間人を拷問ないしは残酷、非人間的あるいは品位を貶めるような取り扱いをした。これはジュネーブ条約、ICCPR、他の条約および条項および慣習国際法の違反である。品位を貶める扱いとはイラクの兵士および民間人に人種、民族、宗教、ジェンダーによる差別したこと、またジュネーブ条約によって要求されている捕虜ステータスをイラク兵士に与えないことなどを含む。正当な法的手続なしの不法逮捕と拘留については多数の証言があった。非常に無残な例が、モスル、キャンプ・ブッカ、バスラ並びにアブ・グレイブ刑務所で行われたことは有名である。拷問を傭兵や民間契約者の手にゆだねることで、責任追及を困難にした。
      8. 不法に侵略し、占領した相手国の法律を書き換えたこと。これは国際法で定められた占領国の責任違反である。例えば、暫定統治機構のポール・ブレマー行政官がサインした命令39は、違法の利益を得るためと石油資源を支配するために外国人投資家にイラク国有企業の買収や乗っ取りを許可し、また何時でもそれらの純利益金と資産の100パーセントを本国へ送還することを許可した。証拠として、そのような取引から利益を得た多くの会社のリストがある。
      9. 故意に環境を荒廃させたこと。劣化ウラン(DU)兵器は燃えている石油から発生する空中に浮遊する煙と結合して汚染を引き起こし、また多量の石油流出とあいまって農地を汚染する。生物化学兵器を使った戦略に近いやり方で、浄水施設や下水施設を崩壊させた。略奪や核施設からの放射性物質の分散を防がなかったこと。空気汚染、水質汚染、土壌劣化及びび放射能汚染について広範囲な文書が入手可能である。
      10. イラク女性の地位が極端に低下するような社会的条件を積極的に作ったこと。これは連合軍のリーダーが繰り返し主張していたものとは反対であった。女性の移動の自由が厳しく制限され、教育を受けること、生活をたてること、および社会的活動が著しく制限された結果となっている。証言によれば、イラク占領が始まってから、性的暴力と人身売買が増加した。
      11. イラクにある人類の豊かな考古学的文化遺産を保護しなかったこと。ユネスコとイラク博物館職員から前もって警告したにもかかわらず、博物館や既存の史跡の略奪を見過し、かつ文化的に考古学に重要な場所に軍事基地を設置した。
      12. イラク・メディアの検閲を含めた情報の権利の行使の侵害。新聞(例えばアル・ハウザ、アル・マシュリクおよびアル・ムスタキラ)およびラジオ放送局(バグダッド・ラジオ)を標的にした妨害。国際的なジャーナリストを狙って、学者、知識人や科学者を拘禁し殺害した。
      13. 国際法に違反して拷問を再定義し、拷問と不法監禁の使用を認めた。これにはグアンタナモで容疑も明らかにされず、法的な保護へのいかなるアクセスも与えられずに、拘束されている500人以上の囚人が含まれる。また囚人の拷問を第三国に委託するという方法を使って、人権侵害や囚人の拷問で悪名高い他の国々に被拘留者を移送した。
    2. 国連安全保障理事会に対して
      1. 侵略の罪からイラクを守らなかった。
      2. イラクに厳しい経済的制裁を課した。これは制裁が直接的に民間人の人命を大量に奪い、また無辜の民間人を傷つけるということを知っていたにもかかわらず行った。
      3. アメリカと英国に国連決議案を執行するという偽りの口実を使って飛行禁止区域での違法な爆撃を許した。さらに、この違反について、安全保障理事会で議論することを一度も許さなかったことで、民間人の生命の損失およびイラクのインフラストラクチャーの破壊の共犯という責任を負う。
      4. アメリカが国連を支配し、かつ他の加盟国の上に立ち、加盟国から責任を問われない状況を許していたこと。
      5. イラクでアメリカとその同盟国が戦争犯罪や人道に対する罪を犯すことを止めさせることができなかったこと。
      6. アメリカとその同盟国に占領中の国際法違反の責任を取らせなかったこと、また不法な侵略を合法と確認したことによって、違法な侵略を合法化し、不法占領の共犯になったこと。
    3. 有志連合軍のメンバー国政府

      イラクの侵略および占領の共犯。

    4. 他の国々の政府に対して

      軍事基地および領空の使用を認め、また侵略と占領のために他の後方支援をした。

    5. 民間企業に対して

      侵略と占領で上述した犯罪の共犯として戦争から利益を得た。

    6. 大企業メディアに対して
      1. 米政府と英政府によって撒き散らされた意図的な虚偽報道を流布したこと、この虚偽報道を十分に調査しなかったこと。それとは反対の証拠が豊富にあっても流布した。企業メディアの中、イラクの大量破壊兵器に関する嘘を広げた責任はニューヨーク・タイムズにある。特に、主な情報源がCIA関係者だったジュディス・ミラーを指名する。さらに、我々はフォックスニュース、CNNおよびBBCをも名指しする。
      2. 占領軍によってイラクの人々に対して行われた残虐行為を報道しなかった。
  3. 勧告

    イラク人民が彼らの国の不法占領に抵抗し、独立した機構を築く権利を認識し、占領に抵抗する権利は国連憲章に由来する自決、自由および独立のための闘いを行う権利であることを確認して、我ら、良心の陪審員、はイラクの人々との連帯を宣言する。

    我々は以下のことを勧告する。

    1. 連合軍のイラクからの即時・無条件撤退
    2. 連合国政府はかれらが行った不法な侵略および占領が引き起こした人道的、経済的、生態系・文化的遺産破壊についてイラクに戦争賠償と補償金を払う。
    3. イラクの人々がかれらの利益にとって有害であると考える占領下で作られた法律、契約、条約および機構はすべて無効であると考えられるべきである。
    4. グアンタナモ刑務所およびすべての沖合いにある米国軍事刑務所は、直ちに閉鎖されるべきである。囚人の名前が明らかにされるべきであるし、また囚人は戦争捕虜としての地位を与えられ、適切な法手続きを受けるべきである。
    5. ジョージWブッシュ(アメリカ大統領)、トニー・ブレア(英国首相)、また有志連合諸国の他の高官を初めとするイラク侵略の罪と人道に対する罪に責任を負う人々の徹底的な調査を行うべきである。
    6. 我々は、この違法な戦争に参加した人々の道義的かつ個人的な責任追及のプロセスを始めるべきである。すなわち、わざと嘘をついたジャーナリスト、人種的、民族的・宗教的な憎悪をあおった企業メディア、およびこの戦争から利益を得た多国籍企業のCEOのような人たちに対してである。
    7. 世界の人々は戦争から直接利益を得た米国と英国の企業に対して行動を起こすべきである。そのような例として、ハリバートン社、ベクテル社、カーライル社、CACI社、タイタン株式会社、ケロッグ・ブラウン&ルーツ社(ハリバートンの子会社)、ダイン・コープ、ボーイング社、エキソンモービル社、テキサコ社、ブリティッシュ・ペトローリアム社などである。次の一団の企業はイラクを訴えて、「賠償」を受け取った:トイザラス社、フィリップ・モリス社、シェラトン社、モービル社、ペプシ社、ネスレ社、シェル社、ケンタッキーフライドチキン社。そのようなアクションには、それらの営業所の閉鎖、不買運動および株主に対して他所に投資するようとの圧力の形式をとるかもしれない。
    8. 兵士たちは良心を行使し、入隊し、不法な戦争に参加することを拒否するべきである。さらに、諸国は良心的兵役忌避者に政治亡命を許すべきである。
    9. 海外にあるすべての米国軍事基地をすべて失くすための国際的なキャンペーンを強化すべきである。
    10. 世界の人々は、イラク占領に物資、後方支援あるいは精神的支援をしようとするかれらの政府のどのような努力にも抵抗し、拒否すべきである。

我ら、良心の陪審員は、これらの勧告の具体性によって皆の望む世界が必要とする基礎が置かれることを望む。つまり、このような世界では恐怖や自己利益ではなく人々の意志によって国際機関が形作られ、作り変えられる。またこの世界では、ジャーナリストや知識人が沈黙しない。またこの世界では世界の人々の意志が中心的であり、国家の安全保障や企業利潤より人間の安全がずっと大事にされる。

補遺:法律書類文書のリスト