Previous/阿部政雄 MLへの投稿文
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無法なイラク戦争が強行され、国民に碌な説明もないまま、日本でも有事法制が民主
党まで巻き込んで通過してしまうという、世は正に狂気の時代に突入しつつある危機
感が今、つのってきています。あの第2次大戦の末期、今の高校生の頃に学徒動員さ
れて土煙のたちこもる鋳物工場で、戦闘機の部品を作らされていた、文字どおり、砂
を噛むような青春時代がまざまざと甦ってきます。

あの当時、闇夜に光る銀河にように心に希望を灯してくれたのは、岩波文庫をはじめ
日本や世界の古典でした。とりわけ、万葉集から与謝野晶子、白樺派文学や吉川英治
の『宮本武蔵』などの大衆文学であり、一龍斎貞山の講談、徳川夢声の朗読、小学唱
歌、童謡がどんなに小生の人間形成に果してくれたことか、とりわけ日本人であるこ
とを誇りに思う心を養ってくれたことを感謝しています。

また、シェークスピア、ゴーリキー、トルストイ、トマスハーディの幾つかの小説も
感銘深いものでした。

そして、小生がつかんだ一番の収穫は、武者小路実篤の文学、『ハムレット』や『ど
ん底』にある「人間とは素晴らしいものだ!!」という人間讃歌の思想でした。この
人間肯定の思想があったればこそ、小生をして戦後の殆どの時期をアジア・アフリカ、
そしてとくにアラブ諸国との提携の仕事に駆け巡らさせてくれた原動力だと確信して
います。あの湾岸戦争について、モロッコの知識人のエルマンジェラ教授は『第一次
文明戦争』(お茶の水書房)の中で、次のように述べています。それは今度のイラク
戦争でも一層明白です。

   この戦争は、何にもまして、文化の行く末がかかった科学・技術的戦
   争なのである。各人が自らを動員し、それぞれの分野における自らの
   能力に応じて行動を起こし、文化的多様性を防衛しなければならない。
   文化的多様性は、平和の達成と人類の生き残りのための前提条件なの
   である。この南北対立の根底にあるのは、文化の問題なのだ。西側が、
   第3世界の国に対する自らのへゲモ二ーを確立するために石油を必要
   としているわけですが、石油に対する経済的利害は、文明的、文化的
   目的に比べれば、2の次の問題です。

   この戦争は文明の戦争なのである。他の文明に対する戦争と言う今日
   の傾向を、あらゆる戦争に反対する文明へと転換することを我々が願
   うのであれば、それが唯一の道なのだ。

そうです。現在の世界は、人間の素晴らしさに信頼を置くヒューマニティを大切にす
る人びととと利潤のためなら大量破壊兵器兵器を平然と落とす野蛮人との戦いです。
この人間重視の人びとと利潤追求主義の人びとの数を比べたら、前者の方が圧倒的に
多いのは言うまでもありません。われわれはもっともっと、人間の素晴らしさ、それ
を実証する文化、芸術の力で、われわれ自身を高め、魑魅魍魎の戦争勢力を圧倒せね
ばなりません。

先に、加藤千代さんの「中国の反戦詩」の紹介が始まり、それが峠三吉の原爆詩にな
り、広がりを見せ始めていることは嬉しいことです。その一つ一つ、戦争の悲惨さに
胸に打つ名詩ばかりです。それが今朝は、peaceおじさんからの
   ♪見上げてごらん  夜の星を
    小さな星の    小さな光が
    ささやかな幸せを うたってる
    
    見上げてごらん  夜の星を
    ぼくらのように  名もない星が
    ささやかな幸せを 祈ってる
といういずみたくの曲まで紹介されるようになったのは、いい流れです。戦時中、B
29の空襲が始まった時、四冊本になっていた与謝野晶子訳『源氏物語』をズック鞄
に入れ、「桐壺」から「夢の浮橋」まで54帖を讀み終えた満足感は忘れえないけれ
ど、今は時間的にこんな大作に挑戦するのはとても至難のわざです。詩や歌謡などの
短詩系文学は、親しみやすいし、覚えやすい。戦後は一時、うたごえ運動が活発な頃、
小生も随分歌に夢中になった。与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」(作曲者の
名前はすぐ出てこない)、ぺギー葉山も歌っているし、小生も時々くちずさむことも
あります。この歌について、Amazonでしらべたら、詞華集 君死にたまうことなかれ美
しい日本の詩歌 与謝野 晶子 (著), 竹久 夢二 (著), 大塚 楠緒子 (著), 小熊 秀雄
(著), 北川 幸比古 (編集) など随分本があるものだと感心しました。

セガコン -THE BEST OF SEGA GAME MUSIC-に
    「檄!帝国華撃団(改)/サクラ大戦2~君、死にたもうことなかれ~」
    「夢のつづき/サクラ大戦2~君、死にたもうことなかれ~」
がある。その内容は小生は知らないが、若い人にこの「君死にたもうことなかれ」の
存在が知られているのは、いいことと思う。

反戦歌と言えば、添田唖蝉坊をはじめ、『同期の桜』と言った軍歌から、美空ひばり
の『一本の鉛筆』まで、数多くの名曲があります。こうした日本国民の中にある反戦
平和の水脈がとうとうと日本国民の間に流れてきていればこそ、平和憲法を押し付け
でなく日本人の精神的支柱として、受け入れてきたのだと思う。

こうした短詩系文学については、小生自身『ノンキ節』の替え歌を前に紹介したが、
口から口につたわる歌や詩などはもっともっと普及することは有効でしょう。それに、
先人にまけない新しい日本の歌もおおいに作って頂きたいもです。歌詞と曲の言いう
たがあれば教えて下さい。そしてそれを世界に広める道も真剣に考えたいと思ってい
ます。

とにかく、文化と平和を愛する人の輪で、戦争勢力を包囲孤立化させましょう。
ネオコンや人種主義者シオニストの牛耳る腐敗した世界幕藩体制から、政治の実験を
世界の諸国民の手に「大政奉還」させる必要があります。みんなで知恵を出し合いま
しょう。ひとり一人が知恵を出し合えば、平和のための核融合反応のような巨大なエ
ネルギーが沸き上がってくるのでないでしょうか。


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ネオコンには、教育、文明など最大の障害物

今朝の朝日の朝刊に「バグダッド黒煙やまず-役所に侵入続々 略奪後放火」とう記
事が載り、石油省をのぞく、外務省、財務省、情報省、教育省などが今なお武装した
略奪者たちに襲われていると言う。これは、ブッシュ政権が最優先的にやりたがるこ
とだと、小生にはよく分かる。というのは、グローバリゼーション2よって世界を支
配しようとするアメリカにとって、イラクのように、独自の力で、近代工業国家の建
設をはかる国は「身の程を知らぬならず者国家」であるからである。

とくに、ネオコンにとっては、軍事力によって発展途上国が工業国家を目指すのを破
壊し尽した上でまた復興産業でまた大儲けしようと言う、まさに人類文明だの、人間
の命の尊さなどという概念は、彼らの辞書には入っていなのである。そんなことに気
を使っていたら、儲けにならなるかと言うのが、彼らの信条に違いない。

こうしたならず者国家のなかで、とりわけ特大級のならず者がイラクであった。イラ
クのフセイン政権は、真の独立を達成するには、独自の産業をはってんさせねばなら
ぬ、そのため必要な有能な人材を豊富に養成に務めてきたが、とりわけ、科学技術を
重点におき、国の工業化に務めてきた。

その成果は、湾岸戦争で壊滅させられたバグダードや地方の都市をイラクの技術者だ
けで再建してしまった。こうしたイラクの潜在力は、ネオネンにとってもイスラエル
にとっても、早く始末しなければならないあぶれ者と映るのは当然であろう。これが
今、米軍の承認の下に敢行されている徹底した諸官庁潰しの大きな動機といえよう。

バグダードのイラク古代博物館の秘宝を7万点も計画的に略奪したのも、イラクから
文化、学問的ノウハウ、文化財をイラクから奪い、二度と立上がれないようにしよう
と言う、正に火星人の襲来もかくならんと思われるような文明の破壊に外ならない。
「目的の正しさを手段の正しさで証明する」と言うのがガンジーの教えであったが、
ネオコンにとっては「目的のためには手段など一切選ばない」のが鉄則である。「恐
怖と衝撃」の手段を駆使して、金になりさえすればいいのである。モロッコのエルマ
ンジェラ教授は湾岸戦争のことを「文明と野蛮の戦争」といったが、日本はどちらの
側につくであろうか。

これと関連することであるが、小生の新著『イラクとともに30年』の前書きの中で
つぎのように志賀重昂の次の言葉を引用した。

   日本でもすでに、1923年、メソポタミアを訪れた地理学者の志賀
   重昂はメソポタミア地域を、世界の川中島(メソポタミアはギリシャ
   語で、“川の間”の意味)にたとえ、「白人即ち西洋人種が自分以外
   の人種を有色人種と呼び、これに対して今日のようなわがままかって
   の振舞を続行すれば、必ずこれに対する所謂有色人種の大反抗を来す
   べく、その兆候は歴歴と顕れ来たった。即ち東西両人種の関ヶ原が來
   たる。この秋(とき)における日本の去就進展抑(そもそ)も如何。
   …東すべきか、西すべきか、徒(いたずら)に形勢の観望を許さぬ。
   凡そ日本建国以来、これより以上の大問題はないのである」と設問し
   ている。

1923年と言えば、今から80年前もの昔であるが、今では日本は、西の超大国ア
メリカの幕下に入り、小泉首相はその征夷大将軍ブッシュに忠勤を励んでいる。御先
祖様に手を合わせて謝りたい心境である。一体「こんな日本に誰がした?」アメリカ
の「民主化」が功を奏したのか。それとも、日本の首相に日本の首相のしての責任感
がないのか、勇気がないのか。

また、イラクの戦後復興に当たる米国の復興人道援助室(ORHA)に協力す
るため、在英大使館の参事官が23日、クウェートから陸路バグダッド入り、アン在
イラク日本大使館の井ノ上正盛・二等書記官も近くバグダッド入りしORHAに参加
する。ORHAといえば、ペンタゴンが取り仕切っている組織である。日本もいよい
よ「世界の超ならず者アメリカ」と運命共同体に道をたどるのかと思うと、なんだか
安手のハリウッド映画を見ているようで情けない。

政治家の中には、憲法や教育基本法が分かっていない落第生があまりに多いのは日本
にとって看過できない有事であり、憂事だと思う。皆さんそう思いませんか。

 民主党は、昨晩22日、党所属全議員を対象とした合同会議を開き、
政府・与党の武力攻撃事態対処法案の修正案の内容について基本的に了承したとのこ
と。民主党がこれを基本的に了承したとなると、矢張り勉強不足か、勇気がないのか、
早く権力の座に昇りたいと言う焦りかしらないけれど、とても及第点はやるわけにい
かない。国際的視野、日本としての果す役割の基本が分かっていない。45点しかつ
けられない。民主党よ、もっと中東の政治について真剣に学んでほしい。自分がどの
程度の国際認識しかもっていないことすら気づいていないらしい。

ただ、蛇足ですが、もう一つ付け加えると、この朝日の記事の横に、手のきれるよう
な札ドルを数える米兵の写真が載り、バグダッドの大統領宮殿付近で1億1200万
ドルが見つかったと書かれていたが、こんな真新しい米ドルはアメリカの軍隊でなけ
れば運べないことは、経済制裁下のイラクでは考えられない。子ども騙しも甚だしい。
「勝てば官軍」正にやりたい放題と言うことだろう。しかし、それだけ、焦っている
とも考えられる。


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(意見)   日本の二つの宝-憲法と国民の蘇生を

 有事法制が参議院での通過された今、日本はその歴史上、大転換の歯車が廻りはじ
めようとしている。有事法制は明らかに、「この道はいつか来た道」。戦中派のしん
がり組に属する私は、今のマスコミ報道が急ピッチに戦時中の新聞、ラジオの報道と
告示してきたという感を拭えない。1945年8月第2次世界大戦が終わった時、ア
メリカの空爆による焼け野が原の跡にまっただ中に立った時の無念の思いをもう一度
味わいたくないし、また若い世代に味合せたくないという思いで一杯だ。

 思えば、私が過去50年の間、非力ではあったがたった一人で、近くアラブと関わ
り続けてきたのも、あの戦争の中で日本が犯した軍国主義の償いと、アジア、アフリ
カ諸国との連繋の中で、日本の針路を見つけて行きたという思いが大きな動機であっ
た。そしてその対象となった国ぐにが時間的にエジプト、パレスチナ、イラクが中心で
あったし、またアラブ連盟東京事務所に長く勤務していた関係上、広くアラブ諸国と
接触するようになり、私の考えは、多分にアラブ人の考えと共通してきていると思う。
というより、私自身がアラブに同化され、その知識、教育もアラブの文化の中で大き
く形成されてきたからだ。

 もっとも、よく冗談のように、「私は51%日本人、49%アラブ人と比率を保ち
たい。あくまで、日本のために、アラブとの友好運動に携わって行きたい」とアラブ
人にいうと、どのアラブ人も「それでいいのだ、あなたが、日本人が日本のために努
力するのは当然だ。われわれは日本とアラブを近付けようというその努力に感謝して
いる。」と言う返事がかえってきた。

 技術専門学校関連の仕事で、1982年と3年の2年間、バグダードに滞在中、あ
る文化人のパーティがあり、イラクの代表的彫刻家、モハ メド・アル・ガーニ氏
(アリババと40人の盗賊の像の作者)から「あなたがアラブと付き合う目的は」と
聞かれた。「アラブを再発見する中で、世界に貢献できる日本のもつ潜在力を発見し
たい」と言うと、彼は即座に「あなたは船乗りシンドバットだ」と言ってくれた。
この言葉に、大いにわが意を得た思いがした。
(拙書『イラクとともに30年』の後書きより)

 日本がまた重要な政治的な転換点に立った今、私はこの半ばアラブ人、半ば日本人
という視点から、日本が辿ろうという路線が如何に日本にとって大きなダメージを与
える針路であることを警鐘乱打して強く訴えたい。
それは端的に言って、「日本人よ、二つの宝を失うな」と言うことである。

 私の言う二つの宝とは、平和憲法と日本国民自身を意味する。先に「chance Forum」
「no force」などのメーリングリストへの投書『「まだ見ぬフィアンセ」が「銃を持っ
た悪鬼」に変身』という投稿に書いたように、これまでアラブの人びとは、明治維新以
来、封建的農業国家を世界有数の技術工業大国に乗し上げた(もっともアジア地域では
多くの過ちを犯したが)日本を「アジアの輝ける一番星」として敬意を表し、領土的野
心のない日本を「まだ見ぬフィアンセ」として憧れていた。そして第2次大戦後、日本
は戦争放棄の平和憲法を制定して、海外にこれまで一兵たりと海外に派遣せず、平和産
業の発展と貿易の促進により世界有数の工業国家に成長した。つまり、日本の戦後の著
しい発展は、いつにかかって平和憲法と優秀な知識と技術を持つ日本国民のたまものだ
と解釈している。

  戦国の武将、石田三成を歌った歌に
    三成にすぎたるものが二つあり 島の左近に佐和山の城
    (島左近は三成の優れた家老の名)
という和歌があるが、今の日本の政治にとって過ぎたるものとは、
1)平和憲法
2)秘めたる潜在能力を持ちながら有効に活用されていない日本国民
だとかねがね思っている。それが不思議とアラブ人の考えと驚くほど一致する。アラブ
人の視点からは、どうして日本では、この2つの宝をもっと尊重しないか、活用しない
かと言うのが「世界の七不思議」の一つに思えるらしい。

 日本の軍国主義化に拍車がかかることは、日本政府自身が、アラブや他の発展途上
国、また西欧の多くの国々の政府のが評価するこの二つの宝を自らの手で爆破してし
まい、おまけに、かっての帝国主義国家日本を復活させ、世界への脅威となろうとし
ていることに幻滅の悲哀を噛み締め、恐怖心すら抱き始めている。

 思えば、日本国民は1945年の敗戦以来、アメリカの占領政策と「民主化」(一
億総白痴化政策)によって、日本人の美しい伝統(とりわけ、反骨の精神、義の精神、
恥の思想、思いやり心など)を喪失してきてしまった。

 有事法制というアメリカのヤラセの政策を有り難そうに押し頂きそれを実行しよう
というだから何をか言わんやである。、それが何時にかかって、ネオコンの操り人形
みたいなブッシュに頭をなぜられるとすぐ舞い上がる”ぐうたら”首相(自分の国の
総理を悪し様に言うのは、抵抗があるが)の私利私欲のため、知るや知らずや日本壊
滅政策が着々と進行していることだけは確かである。

 昨日、6月6日、自民党の野中広務元幹事長はイラク新法について「米英が占領
政策を展開している地域に、国連決議などを理由に、自衛隊が出て行ったらどうなる
か。自衛隊は軍隊でないことを認識しないといけない」と述べ、自衛隊派遣に反対す
る考えを改めて示したと聞く。自民党には、野中氏始め、宮澤喜一、河野洋平氏ら国
際感覚と良識を持った政治家が相当いるはずである。

 是非とも「ブッシュ病」にとりつかれた、強度の熱病におかされている小泉首相
に「御乱心、めさるな」といさめ、ハッと我にかえらせる説得を行って頂きたい。これ
は最早、自民党の問題ではなく、日本の命運をかけた重要な問題だから。

 この悲惨な日本の姿を前にして「禍い転じて福となす」ことができるかどうかは、
われわれ日本人ひとり一人の肩にかかっているのではなかろうか。とくに、志を抱い
て政治家になった国会議員は、もう一度初心にかえって頂きたい。

 日本の政治家の大多数が日本憲法や日本国民自身を評価しないなら、ーー評価する
能力がないのならーー、日本国民自身が日本人や日本憲法を評価している世界の人び
とと積極的に連係して行くしかないであろう。

 この広い地球のここかしこに、この日本の誇る二つの宝を大切にしてほしいと日本
人に願い、自分達もそれを活かして行こうという人びといることは貴重である。コス
タリカなどは日本に近いと憲法を持っていると聞くし、イラクの中にもその国が次に
採択する憲法に日本の平和憲法の精神を活かしたいと言うひとびとがいるという。決
して日本の憲法ばかりでない、国連憲章、世界人権宣言など世界の平和、友好、繁栄、
協調を発展して行こうという、ひとにぎりの「死の商人」に繋がる政治家の怪盗団の
ようなしみったれた少数派ではなく、全世界の圧倒的な大多数、働く人びと、知識人
や市民、そして自国の失政のため苦しんでいるひとびとが、同じ目標をもったいる仲
間であることに自信をもつべきであ。

 冒頭で書いたように、超大国の仕込んだ罠にはまって日本を奈落の底に転落させて
しまう前に、われわれ日本人は、世界的にも貴重な存在として浮上して生きている日
本憲法と日本国民という2つの宝の重要性に気付くべき時が、いまやってきているこ
とに目覚めてほしい。

 平和憲法と日本国民の価値に目覚めよう!日本人は、もっと自らの価値に目覚める
べし。そして、みんなで力を合わせよう。幸せは向こうから、歩いてこない。こちら
からそれを克ち取らねばならない。われわれの脚で歴史を刻み込んでいこう。


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(意見)有事法制を通した永田町は目下罹病中。治療するのは主権者国民の義務

有事法制が衆参両議院で通過したことによって「日本国憲法、逝去す 享年56歳
(パロディか?)という意見[constitution:1354]が水谷さんから出され、それに対
して憲法に抵触する有事法制は、ドンブラーさんからこの法制は明らかに違憲であり、
撤回させるべきですという反論も出されていたが、小生は、この反論を支持したい。

学ぶこと多き新渡戸稲造博士の言葉を借りれば、こうした違憲の法律をの国会議員の
大多数によって、十分審議をしないで火事場泥棒のように、あたふた急いで成立をさ
せてしまうというのは、「日本がいま一時的に深刻な流行り風邪にかかかっている」
に過ぎません。相当悪質のSARSのような病気ですから、早めに対処しないと、日
本自身の命取りになりかねません。

とかく、保身のためや金権の獲得には、禿鷹並みに獰猛、活発な政治家のパーセンテー
ジが高い(良心的な政治家がいないわけではないことも強調しておきたいと思う)永
田町では、早く切開手術を急がねばなりません。

国会議員の多くは、憲法を讀まないから、あるいは讀んでも、そんなことが書いてあ
るなんて、おくびにも出さない方々ですから、「国の主権者が国民」であることを忘
れています。国の最高法規の憲法違反の法律の通過を歓声をあげて喜んでいる政治家
なんて、本来は軽蔑されてしかるべきなのです。本当に胸の張れる法律なら、あんな
に慌てて通す必要ないでしょう。

こんな法律を簡単に通してしまうと言う国会議員が多いのは、今の与党3党や野党の
中でも、高校生や、いや中学生たちの憲法認識のレベルより意識が低いためなのです。

しかし、冷静に考えてみれば、ここまで国会議員の多くを手に負えない「無法者」
「ガリガリ亡者」「憶病者」にしてきてしまった重要な原因の一つは、国民の一人一
人が「主権在民」の思想を自ら把握していなかったことにあります。国民の将来など
二の次として、まず、総理の座にしがみつきたいばかっリに超大国の大統領の御機嫌
とり取結びに汲々としている日本の首相の登場を許してしまったことは、われわれ国
民自身の責任です。政治家にたいし、その成果に対して声援を送り、その間違ッた政
策には、厳しく追求する姿勢が貧弱だったこと反省すべきです。政治を議員任せにし
過ぎていたようです。

しかし、一方、最近この欠陥を是正しようと言う動きもかなり進展してきていますが、
正直言って、余りにも政治家任せであったし、少し、甘やかし過ぎたということも反
省しなければなりません。私自身東海大学の講師をしていた頃、1999年から遡っ
て3年ぐらいの間、学期末に学生たちから、授業態度、その内容などについて採点さ
れたことを思い出します。これから、国民の側から、ここの国会議員の採点表を年に
二回ぐらいつくり、次期選挙に活用すると言うのは、どうでしょうか。主権在民なの
でこれまでやってこなかったのは国民の怠惰だったと反省すべきでないでしょうか。
その方がやる気のある議員への激励になることは言うまでもないでしょう。

こんな有事法制などをあたふたと可決させようということは、日米関係が大事だから
とハンコで押したような返事がかえってきそうです。しかし、そのアメリカやイギリ
スでは今、イラク攻撃の口実として、イラクが大量破壊兵器兵器を隠していると言う
情報を政府が鵜呑みしたのは、戦争開始のためのヤラせだったのではないかと言う疑
惑が台頭し、両国政府を揺さぶっていると聞きます。ヤラセであることが確定したら、
アメリカのブッシュ大統領という大亀に乗っかったイギリスのブレア首相も、またそ
の甲羅の上にしがみついている小泉首相もはるか遠くに丸投げされてしまうでしょう。

イラクへの自衛隊の派遣など、アラブ中東地域における日本の信頼をバンカース爆弾
で、あるいは劣化ウラン弾で木っ端みじんに粉砕し、日本への親日感情を一挙に消滅
させてしまう日本史上の空前の愚挙と言っていいでしょう。パチパチ手を叩いて喜ぶ
のは、ネオコンという恐竜だけというのでは、あまりに惨じめな物語です。中東では、
孫子の代までの語り草になるでしょう。いやその頃は中東地域から、日本は矢張りア
メリカの傭兵並みの帝国主義国家と醜い正体を見せてしまったため、余り歓迎されず、
見向きもされない姿に変身しているでしょう。日本人の優れた潜在能力を壊滅させ、
中東と日本の関係を遮断してしまう政策を日本の首相が音頭をとって推進しようとす
るのですから、阿呆らしい限りです。自衛隊が現地でイラク人に銃を向けたり、過っ
て血を流させることになったら、その血は日本とアラブ中東との関係史の中でも、い
くら洗っても消えないでしょう。

 実は最近イラクの復興問題で事情に明るい人の講演を聞いて、全く共感したのは、
次の言葉でした。

 「アメリカはイラクの復興、復興と言っているが、イラクの再建のための国づくり
に一番来てほしくないのがアメリカ人なので、アメリカがイラクの再建には最も、不
的確の国といっていいでしょう。その点日本人はイラクが来てほしいナンバーワンで
はないか」云々。

この専門家は、イラクと日本との蜜月期間は、1970年代中頃から、1980年代
の後半であるが、とくに1979年には、日本が世界に輸出したプラントの仕事の5
5%はイラク一国に集中していたとのこと。小生もそのへんの事情は82、83年と
現地の技術専門学校関連の小さな企業のバグダード所長として滞在していたので、よ
く分かります。

こんなこと常識として、外務省の中東専門家なら、知っているはずと思う。しかし貴
重な日本への期待エネルギーが中東アラブ諸国、とりわけイラクに横溢していると言っ
たことを小泉首相が知らないのは、アメリカに都合の悪い情報は一切黙殺されている
「自主性皆無省」の川口外相の深慮遠謀なのか、外相自身が知らないのか、とぼけて
アメリカ拝跪主義に徹しているのか分からないが、とにかく「外務省というのは、外
国のことを一番知らない省」とうことを河野太郎代議士が書いていたけれど至言であ
る。 

 しかし、外務省のために弁護すれば、本来外務省でも中東の事情に明るい専門家は
かなりいる。問題は、対米一辺倒の外務省では、こうした専門家自身が対米外交にとっ
て、獅子心中の虫までは行かないけれど、とにかに邪魔な存在にされているのではな
いかと勘ぐりたくなることが多い。「外務省は伏魔殿」と呼ばれるのも由縁である。

有事法制の通過への怒りから、つい長々と書いてしまったが、ここらでひと休み。ま
たこの後続けます。乞う御期待のほどを。


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実は5月25日に
アラブにとっての「まだ見ぬフィアンセ」が「銃を持った悪鬼」に変身という表題で、
    いよいよ日本は、アメリカの軍事的支配の片棒を担がされる危険に
   壮大なアメリカの罠にはまって奈落の底に
という意見を小泉首相に送ったところ、
    小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございまし
    た。いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせ
    ていただきます。皆様から非常にたくさんのメールをいただいてお
    りますが、内閣官房の職員がご意見等を整理し、総理大臣に報告し
    ます。あわせて外務省、内閣官房安全保障危機管理担当、防衛庁へ
    も送付します。
    今後とも、メールを送信される場合は官邸ホームページの「ご意見
    募集」からお願いします。
                   内閣官房  官邸メール担当
という返事を頂いた。

何しろ、諸外国での国際会議に出張する折には、その国の観光上の名所旧跡をじっく
りと見学し、見聞を広めることにも努力されいることですから、お読み頂くことはか
なわなくても、首相に提供する進言の中に少しでも繁栄されればと言うことに期待し
て、これからじゃんじゃんわれらの首相に提言して行きたいと思っています。それに、
いくつかの省庁にも送付されるということも励ましになる。

有事が発生しないためにも、こうした提言を国民から首相に送ることが「備えあれば
憂いなし」と考える次第です。


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(意見)  いよいよ日本は、アメリカの軍事的支配の片棒を担がされる危険に
      壮大なアメリカの罠にはまって奈落の底に

 5月23日の日米首脳会談で、小泉首相は、「イラク復興・安定化支援法案」(仮
称)の今国会成立を前提に、イラクの治安維持に当たる米英軍などへの後方支援のた
め自衛隊を派遣する意向を表明した。また、共同記者会見で、大統領は「小泉首相は
日本の自衛隊も人道、復興活動で後方支援を 行うと言ってくれた」と述べたという。
アメリカが要請しているのは、陸自1千人派遣という。

  米側の要請は、国務省、国防総省、在日大使館など複数のルートで非公式な打診
があり、「米同時テロの時は『ショー・ザ・フラッグ』(日本の旗を見せて欲しい)
だったが、今回は『ブーツ・オン・ザ・グラウンド(地上部隊)』と言っている」
(日本政府関係者)という。かって中国大陸や、東南アジアで鳴り響いたあの忌わし
い日本軍の軍靴のザクザクザくという響きが中東地域に初登場することになる。

 とうとう日本は、親日感情の横溢するアラブ中東地域の中で、日本の醜い姿をわざ
わざ自らお披露目すると言う大失態を小泉首相の無知蒙昧と私欲のために実行しよう
としている。
 政府は盛んに後方支援と言っているが、軍事的参加に代りはない。ネオコンやシオ
ニスの戦略は底知れない恐ろしさを秘めている。

   アラブにとっての「まだ見ぬフィアンセ」が「銃を持った悪鬼」に変身

これまでアラブの国々の人は、明治維新以来、封建的農業国家を世界有数の技術工業
大国に乗し上げた(もっともアジア地域では多くの過ちを犯したが)日本を”アジア
の輝ける一番星”として敬意を表し、領土的野心のない日本を「まだ見ぬフィアンセ」
として憧れていた。

 ナセルの情報相をとつめたへイカル氏はじめ多くのアラブの知識人は、「日本へは
プラトニック・ラブを抱いている」と書いているし、筆者は1965年の春カイロ滞
在中に、文化局長から「もうわれわれは日露戦争以来の『長過ぎた春』には、疲れた。
われわれはもう具体的な協力が必要だ」など打ち明けられたことがある。

 今度の自衛隊派遣と言う言葉から、思い出すのは、1970年代後半、当時アラブ
連盟東京事務所に勤務していた時、ある晩六っ本近くの会場で、かって海軍に努めて
おり、当時、瀟洒、技術関連企業に働いていた人びとの主催で、中東地域で、港湾、
開運関連の仕事が開発できないかと言う主旨の会が、当時のクウエイト大使に講演者
として招き開かれたことがあった。

 何が原因が分からなかったが、定刻より一時間送れてクウエイト大使(当時はパレ
スチナ人)が駆け付けて講演をされたが、その時印象に残った言葉は、「われわれは
日本の商社マン、技術者が小生や民間機に乗ってアラブの国々建設においで頂いてい
ることを心から感謝している。しかし間違っても、軍艦や軍用機に乗ってだけは、わ
れわれの国にこないでほしい」と締めくくられたことである。大使は第2次大戦の日
本が果して役割をよく御存じであり、その主催者が旧海軍の人びとであったがため、
こんな言葉をはかれたのかよく分からないが、熟考する価値がある。

 小泉さん、この辺のことをよく考えないと、罠にはまってイラクの民衆と対峙し、
遂には武力行使に巻き込まれ、果てしなき泥沼に陥る危険という愚を犯さないでほし
い。ブッシュは、ネオコンはしめしめと思っているのですよ。

 そしてかっての「まだ見ぬ美しきフィアンセ、日本」が、アラブや中東地域で、銃
を構えた東洋鬼に過ぎなかったと言う衝撃的幻滅を味あわせるようなことをしないで
ほしい。(残念ながら、もうすでにはじまっているが)。

ましてむしろ、日本は平和国家、文化国家としての役割を果しうることを証明する絶
好の機会にしてほしい。むちかしい注文かも知れないが、「変人は豹変する、変人は
変身する、いや是が非でもへんしてもらねば困る」ということに一縷の望みをかけた
い。これが国民の要望だと知って惜しい。

小泉さんよ、今が一番、小泉さんが悪名を後世に残すか、それともこの土壇場に正気
にかえって汚名を返上するか、それとも日本を奈落の底に丸投げするか、じっくりと
考えくださいよ。


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意見: アメリカのイラク侵略と日本の役割
アメリカはとうとう歴史的な平安の都バグダードへの侵攻を開始した。

あの黒煙の立ち上るバグダードの空の下で、殺傷されるバグダードの人びと、そして
その中には、きっと親しい友人、知人が含まれていると思うと平衡感覚がおかしくな
るような憤りが身体の中を駆け巡る。

どすのメッキーさんが紹介していたように、ダグラス・ラミス氏が「イラク戦争を考
えるチェッキングリスト」の中で述べているように、イラクはアメリカの攻撃を受け
るような悪いことは何一つしていなのにもかかわらずにである。

 このチェッキングリストの出典は、ラミスさんのお嬢さんのサイト「はてみ」
 http://www.hatemi.jp/

アメリカの行為は正に火付け強盗の大悪党の仕業ではないか。小泉氏は、それを友好
国として「諌め」もしないで、支持協力をいち早く宣言するとは、なんと戯け(たわ
け)たことを恥かしげもなく言うものかと「悪い夢」でも見ているような息苦しさを
感じる。戦中派として許せないのは、それを日本の首相でございと言う顔をして公言
しているのだから、余計に腹立たしい。それに一体そんなアメリカへの協力費を国民
の税金で当てるなんてとんでもない。関組長の名台詞ではないが「あなたとは白紙の
契約書に署名捺印した覚えはない」んだよ。「ああ、純一郎、君を泣く 君、ぼけた
もうこと勿れ」と叫びたい。

この怒りなかなかおさまりそうもないので、小泉氏と彼を首領と仰いでいる閣僚たち
に贈りたい諺(ことわざ)がある。

   狡兎(こうと)死んで走狗煮らる ー用済みの日本は料理される

つまり、狡兎(かしこい兎ー-一応イラクとしておこう)という獲物を主人に命じら
れたら一目散に走って追っかけて行く身も心も軽い忠犬ハチ公みたいな猟犬が小泉氏
の姿に思えてならない。

おまけにこの猟犬、兎が捕まったので、御褒美がもらえると思っていたら、兎が獲れ
て用がなくなったので、こんどは食料として煮て食べられてしまう運命が待っている
ような気がしてならない。

というのは、豊富な石油、水資源、人材に恵まれたイラクが、急速に近代工業国家に
成長して行くことを見のがしていたら、石油収入をアメリカの銀行に預金せぬ「なら
ず者国家」の筆頭であり、中東の石油権益支配の憲兵であり、民族浄化による拡張主
義国家イスラエルの存在を脅かすイラクのような国が他のアラブに真似られていった
ら、アメリカのグローバリゼーション政策に風穴があいてしまう。何としてでも1日
も早くイラクを潰してしまおうと言うのがネオコンの一大戦略だからである。

   アメリカの強力なライバル、日本の弱体化をねらう

おまけに、借金財政、貿易赤字と二重の経済的不安をかかえるアメリカには、国際法
だの、正義などは気にしている余裕は最早存在しない。平和な家庭に火をつけて、金
目のものを強奪し、その廃虚の再建の仕事をひとり占めしてまた儲けるというネオコ
ン一派の悪行は、シェークスピアの劇に登場してくる悪人などまるで子どもに思える
ほど巨大で異常である。

おのが野望の前途を邪魔するやつは、イラク同様に始末すると言う脅しを世界にかけ
ようとしているこの一国単独主義の超大国アメリカは、その競争相手になる国の存在
は、情け無用とばかりに潰しにかかった。宇宙開発競争に旧ソ連を誘い込み、ついに
ソ連の経済を破滅させてソ連を崩壊させることに成功した。

一方、1960年代の繊維から始まって、その鉄鋼、自動車、半導体、VTRなど輸出
超過が絶えずアメリカ経済をおびやかしてきた日本こそソ連の次には、日本だと言わ
れるくらいアメリカにとっていつか壊滅させたい競争相手である。アメリカのネオコ
ンにとって日本は弱体化し、より従属させねばならない要注意国のトップであった。

   中東地域から日本の追い出しも大きな目標

まして日本が、アラブ産油国がオイルドラ-で潤っていた頃、アラブ諸国に進出して
アラブの経済建設に大きな声望を獲得していたのは、恐らく砂を噛むような思いでじっ
と見つめていたに違いない。まして、オイルショックの直後に田中角栄首相がダレス
国務長官の警告をよそに、「アラブ石油のアラブと直接取り引き(direct deal)」を
主張しようとしたため、田中のロッキード機購入にまつわるスキャンダルをアメリカ
の新聞で暴露し、彼の失脚を演出したアメリカの謀略の底深さは記憶に新しいところ
である。

湾岸戦争の際にも、アメリカは日本に135億ドルの貢献金を貢がせたばかりでなく、
自衛隊まで派遣させようとしたが、当時はまだハト派だった海後首相によって貢献金
(バカにならない金額でその金額分はそっくりアメリカの懐に)だけで、踏み止まる
ことができた。しかし、これが「日本の一国平和主義」という国際的な非難キャンぺー
ンの対象とされ騒がれ、「金だけでなく旗を見せろ」の大合唱の中で、日本の軍国主
義の路線が急ピッチに進展してきた。そして、遠慮なく書かせてもらえば、その旗ふ
りの総大将が、かの中曽根康弘大勲位である。

皮肉なことに、1990年の湾岸危機が始まる直前、中曽根氏はリクルート疑獄事件
で最大の金額を受領したと言ういう黒いに近い嫌疑受け、筆者は国会で証人喚問され、
慎重に言葉を選んで何とか必死に逃れようとしていた中曽根氏の姿をテレビで見つめ
ていた。確か、自民党からも離党を勧告され、牙を抜かれた一匹狼のような存在であっ
た。

   湾岸戦争後の日本の戦前回帰は中曽根氏の復党から

そこに、突如、降って涌いたように起こったのが、イラクのクウエイト侵攻(この誘
い込みにイラクがのったのは罠にはまったのであったが)であり、そこから派生した
日本人人質事件であった。当時の週刊誌の切り抜きを讀むと、日本の外務省はまとも
な手を何一つ打たなかったようだ。

一説によれば、中曽根氏は、通産大臣の時にイラクへの経済借款を与えたと言うイラ
ク政府とのつながりを活用し、中曽根氏をバグダードに訪問させれば、人質問題の解
決に有効ではないかという「中曽根コール」を在イラクの日本商社筋から出させ、結
局佐藤孝行氏を団長とする自民党代表団の一員としてバクダードに赴いたのである。
しかし、なんと言っても、元総理であり、フセイン大統領とも多少の面識があったと
言うことで、何となく人質解放に役立ったと言う形になり(実質的には当時バクダー
ド入りして活躍したアントニオ猪木議員の方がより大きな役割を演じたのであったが)
、中曽根氏の自民党復党が実現し、その後、日本の戦前回帰の復古路線の協力の推進
者として采配を振い、とにかく、大勲位にまで上り詰めることとあいなったのは多く
の人が知っていらっしゃる通りである。

今、中曽根氏はイラク叩きの最右翼であるが、一つ間違えば小菅の刑務所行きの身だっ
たのが、イラクでフセイン大統領まで会えたお陰で、今日、元総理として威張ってお
られるのも、イラクあってのことと言えなくもない。もっとも永田町でも、「最も冷
たい性格の持ち主」という冷徹な中曽根氏には、そんな義理、人情など政治の世界に
何の意味もないと宣(のたま)うだろうが。

   アメリカへの盲従は、日本ばかりかアメリカの破滅へ

大分脱線気味なので、話を元に戻すと、つまり、邪魔者、障害物はすべて「消えても
らおう」というハリウッドのマフィア顔負けのアメリカのネオコンにとっては、アメ
リカの将来最大のライバルになる潜在能力を持つ日本にイラクの仕事など美味しい部
分は渡しっこない。

それどころか、アメリカは、日本がイラクで1970年代末から、80年代なかばま
で、イラクの主要なプラント、とりわけバグダードの経済建設には、大きな実績を残
し、将来イラクを再建させるのに最も相応しいのは日本だと今でもイラクの政府も一
般のイラク人が信じ込まれてきたことが目障りでならなのである。このイラクと日本
と密接な関係というアメリカにとってもっとも忌わしい事態を何とか御破算にしたい
と言うのが彼らのねらいであった。

アメリカにとって、幸いなことは、一昔前の、三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田
赳夫といって骨のある政治家が他界し、アメリカが頼まなくても、アメリカが感激す
るくらいアメリカに従順で忠誠を誓う政治家が日本に多くなったので、アメリカは
「日本の政治家とはこんなものか」と内心ほくそ笑んでいるのではないか。

大体、イラクの戦争がまだ終わってはいない。バグダードも陥落したわけでなく、ア
メリカの占領した地域のイラク人が、侵略してきたアメリカ人に好感を抱いているな
ど、考えようもない。それを僅かなアメリカの軍隊でどう統治できるだろうか。元国
連査察官のスコット・リッター氏も「米英軍は負けるであろう」と予言している。そ
こしな街目で見ればそれは間違いないと筆者は思う。湾岸戦争で生活関連のインフラ
を徹底的に破壊し、劣化ウランを惜しみなく降り注ぎ、12年を越す経済制裁を続け
て、多くのイラク人の生命を奪ったアメリカ軍をイラク人が解放軍として歓迎すると
思えと言う人びとがいたら、顔が見たいくらいである。

今のままでは、イラク人は日本政府にすっかり愛想をつかす日が近いかも知れないが、
日本人にはまだ愛着を持っているようだ。この親日感情を反日感情に切り替える手段
をアメリカは日本の政治家たちが討議する時間的余裕も与えないで、矢継ぎ早に、自
衛隊派遣まで実現させて、徹底的にイラクや中東地域(とくにパレスチナ)で「手を
汚させ」「血まみれにして」しまえば勝ちなのである。そうすれば親日感情と言う日
本にとってかけがえのない資産は「反日感情」という負の遺産に一挙に転換させられ
てしまうのである。

   教育基本法の熟読で日本人としての誇りを取り戻せ

冒頭の「狡兎(こうと)死んで走狗煮らる 」の諺のように、アメリカは「おれたち
だけが汗を流した」(イラクを侵略し、イラク人を虐殺した)のだから、その代償と
して石油を一人占めしたいと言うのである。美味しい兎はこれからゆっくり料理する
ことにして、もう御用済みの猟犬など煮るなり、焼くなりして食べてしまえばいいの
である。小泉さん、あなたはアメリカの政治家じゃないんだから、まず、日本を、つ
まりわれわれ日本人をアメリカの食卓にのせるような、日本の歴史に泥を塗るような
情けないことだけはしないでほしい。

アメリカのイラクへの火付け強盗の悪行の片棒を担ぐことなど、あなたは共犯者とし
て歴史に刻み込まれることぐらい考えてほしい。なんで日本の首相がそれだけ、アメ
リカに卑屈になるのかよく分からない。この辺のところを国民に納得できるように説
明すべきだと思う。それが説明できないようだったら、原稿の憲法と教育基本法を熟
読すべきである。日本人としての襟度も持たないで、教育基本法の改悪なんてとんで
もない。「修身斎家治国平天下」である。まずアメリカにも道々と是は是、非は非と
はっきりものを言うべきではないか。

(この文章、転載大歓迎です。特に国会議員の先生方に讀んで頂きたい。小生が間違っ
ている点があれば御指摘も受けたいと思っている。)


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今のアメリカの情け容赦のないイラク攻撃を見ていると、あの忌わしい太平洋戦争の
末期の自分の姿を思い出します。
すでに前に述べたことと重複しますが、始めて讀まれる方も多いと思いますので、所
感を述べさせて頂きます。

戦争中、大きな衝撃を受けたこと、教訓として肝に命じたことが3つほどあります。

1. 
1945年の3月、今から58年前の今頃、小生は旧制中学生として学徒動員中で、
現在の豊田市の郊外の山手の工場で航空機の部品を造っていました。当時はすでに三
河湾に侵入していたアメリカの航空母艦から発進して来たモスキートという小型の戦
闘機が工場めがけて急襲してきて、トタン屋根越しに機関銃を撃ってきました。

 驚いて林の中に逃げ込む小生たちを艦載機は執拗に追っ加てきて、機銃掃射をして
きました。バリバリ!と松ノ木を撃ち破る音を聞きながら、小生はその根元で震えて
いました。「お母さん、孝行もしないで、いま死んでいくのが口惜しい!」そんな思
いが胸を掠めました。

 そして、その時、本当に、特攻隊に志願して国を守らねばと言う決意が涌いてきま
した。正直言ってそれまで、軍国少年として長い間教育されていたので、いづれ軍隊
の行くのは覚悟していました。しかし、自ら、死を覚悟しても命を投げ出して国を守
ろうと言う決意を抱いたのは、その時が始めてです。

 家族、級友、愛する人びとを殺された嘆き、怒りの中から、それらの人びとを守る
ために命を捧げようと言う国に殉ずる決意が生まれたことを鮮明に思い出します。

 アメリカやイスラエルは、イラク人やパレスチナ人、あるいはアフガニスタン人を
人間と考えないで、殺戮してきていますが、それは、生き残った人びとに、こうした
非道な社会、世界をなくしようと言う決意を抱かせて行くものだと思います。

 小生自身、戦後アラブとの交流を一生の仕事として、ナセル時代のエジプト、パレ
スチナ運動高揚期にアラブ連盟東京事務所、そして1985年ごろから、イラクを中
心とした仕事に携わってきたのも、このような不条理な戦争を2度となくすることに
役立つ仕事を一生の仕事にしたいと言うことから始まったのです。

2.
これもすでに書いたことですが、戦争中、突然、奈落の底に突き落とされた気持ちに
させられたのは、工場での昼休みに意地の悪い1年うえの上級生から無理矢理聞かせ
られた話です。「阿部、いい話を教えてやる」と言って、中国から帰還してきた兄貴
の話しとして日本の兵隊が中国大陸でしでかした一般民衆に対する放火、略奪、強姦
(このことは正直行ってよく分からなかった)、惨殺などをこれでもかこれでもかと
聞かせられたことです。真っ青な空が突如暗黒の空に変わった衝撃事件でした。

そして暫くして日曜日に庄内川の土手に行って、本を讀んでいた時、「何故、日本人
は中国人と戦わねばならないんだ!。殺しあう必要があるんだ!」と一人で絶叫した
ことを思い出します。

今、イラクでのアメリカの不当な戦い、そして何とか、イラク人同志、アラブ人同士
を戦わせようとする国際的情報戦略の姿を見ていると、欧米の植民地主義国家がアジ
ア、アフリカを次々と征服していたった時の常套手段「divide and rule](分割支配
政策)を思い出します。

これは、海の彼方のアラブの事ばかりでなく、われわれ日本においても十分留意しな
ければならない大事な問題だと思います。とにかくわれわれは、世界政治の現状を客
観的にみて、少数の巨大資本の利潤とシオニズムといった時代錯誤の人種主義のため
に人類の未来を破壊して行く元凶とみんなが大同団結して戦わねばなりません。

ひどく、イラク贔屓だとお思いなるかも知れませんが、たった2400万人のイラク
国民が超大国ー-つまり双頭の大蛇(ブッシュ政権とシオニスト政権)に敢然と戦う
姿にこうした人類の悲劇に終止符をうとうと言うけ決意を見て取る思いがします。

モロッコのエルマンジェラ教授の『第一次文明戦争』をお薦めします。まさに世界に
おける最初の文明と野獣の戦いなのです。イラクはあの湾岸戦争を「すべての戦いの
母」(Mother of All Battles)と呼びました。そして今度の戦争を「最終戦争」と呼
んでいます。罪のない人びとを虫けらのように殺す、単独行動主義の帝国主義の戦い
を今回限りにしたいものです。

恐らく、誇り高い6000年の歴史をもつイラク人の心には、こうした思いが宿って
いるのでしょう。

こうして身を捨てても文明を世界を守ろうという戦いなればこそ、アメリカ、イスラ
エルを拠点とする、野望に満ちた超大国、超大量殺戮兵器保有国はイラクを悪の枢軸
国扱いするのです。世界の平和を愛する、人類の明るい展望を切り開こうと言う努力
にアメリカは極度に恐怖心を抱きいるので、そうしたアメリカに堂々とものが言える
国民が増えて行くのを食い止めるためにイラクを早く始末をしたいのです。

サダム・フセインをどうしようと言うのではなく、イラク国民自体をアメリカは敵視
し、ジェノサイドしたいのです。サダム・フセインはその口実につかわれているので
す。イラク国民を無力化すれば、パレスチナ人を浄化するのは容易になるからです。

外の人に押し付けようなどと思っていませんが、小生は、アメリカとイラクの戦いは
野獣に対して身を挺して戦う文明の民だと思っています。激励されるのはこちらの方
だと思っています。それがあの第2次大戦の悲惨さを知っているのもの務めだと追っ
ているからです。無念の思いで死んで行った人への鎮魂になると信じているからです。

3.
あの戦争が終わった時に肝に命じたのは、「自分の運命を第3者に勝手に変えられて
はたまらない」という思いです。
日米開戦が始まったのは、中学1年の時でした。そして3年生になってからは、学と
動員に1年の3分の1、4年からは全く工場での飛行機の部品つくりになりました。
そして「真珠湾攻撃の9軍神に続け」「特攻隊に志願しろ」と盛んに督促されました。
しかし、大川周明の『米英東亜侵略史』などを讀んで、あの戦いがアジア解放の戦い
であると信じるようになったものの、家族ための、自分の将来のため、自分で志願し
てまで戦場に行くきにまではなりませんでした。それは、1.に書いたように、機銃掃
射をうけてから、日本の都市が空襲によってほとんど廃虚とされるころに特攻隊になっ
て国を守ろうと決意が強く沸き上がってきたのです。

これとて、無用な戦争など起こす勢力がなければ生まれてこない悲しい選択です。
みんなで、国会の主人公たるわれわれ国民の運命を簡単にねじ曲げるような政策に反
対しましょう。われわれ一人一人の命はそれこそ、地球よりも重く尊いものです。