東京での「地中海映画祭」成功裡に終わる
今後3年間地方で上映
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中々見る機会のない地中海沿岸諸国の国々の貴重な映画が20数本も一挙に上映さ れる地中海映画祭が5月中旬から6月初旬にかけて開かれた。主催は1982年の国 際交流基金と朝日新聞。その内の12本がエジプト、シリア、チュニジア、モロッコ、
アルジェリアといったアラブの映画で、後は、トルコ、ギリシャの映画である。 この貴重な映画は今後3年間、日本各地で、上映される予定。
作品紹介
(チュニジア) (3本)
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ラグレットの夏
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フェリッド・ブゲディ-ル監督
1967年、第3次中東戦争勃発前夜の海辺の町ラグレットを舞台に、アラブ系・キリスト系の、宗教、民族が異なる3つの家族の日々を、軽妙洒脱なタッチで描いた作品。チュニジア出身の女優クラウディ・カルディナ-レがゲスト出演。
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ある歌い女の思い出
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ムフィーダ・トゥラートリ監督
バーの歌姫アリヤ我、母と共に幼少期を過ごした王宮を訪れ、封印していた過去をふりかえる。フランスによるチュニジアの植民地支配が崩れていく状況を背景に、1人の少女が子供から大人へと成長し、自らのアイデンティティを獲得してゆく過程をたくましく描いた傑作。
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チュニスの女たち
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ヌーリー・ブ-ジッド監督
「チュニジアの少年」、「ある歌い女の思いで」などの脚本家による典型的な良妻賢母、別 れた恋人を思いながら女手ひとつで子供を育てる女、アルジェリアから逃れてきた過去がトラウマとなっている女。チュニスに生きる女たちの友情と生活を描く。
(エジプト)(3本)
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他者
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ユーセフ・シャーヒーン 日本でも多くのファンをもつ、エジプト映画界の巨匠、ユーセフ・シャーヒーンの最新作。歌あり踊りありのエンターテイメント作品。
現代版ロメオとジュリエットともいえる悲恋を軸として、欧米資本のどう流や宗教問題など、エジプト社会が抱えるジレンマを浮彫りにする。
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エルマディナ
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ユスリ-ナスラッラ-監督 アレキサンドリアで活動したギリシャの詩人コンスタンチン・カバフィの詩から想を得てつくられた作品。人生を変えようとパリパリに渡ったアリは、負傷をきっかけにカイロに戻り、本当に大切なのはどの町に暮らすかではなく自分が誰なのかを知らせることだと気づく。
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アクラ
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白ナツメヤシの伝説 ラドワ-ン・エル・カーシフ監督 男たちが出稼ぎに出て、女ばかりになった砂漠の小さな村に残った少年アハメドは、歳月を経て村のリーダー的存在になる。何年もたって戻ってきた男たちが、彼の成長をうとましく思いはじめ・・・。民俗音楽をちりばめた幻想的な作品。
(レバノン)(1本)
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西ベイルート
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ジアド・ドゥエイリ監督 クエンティン・タランティ-ノ監督のアシスタント・カメラマンをつとめたドゥエイ リ監督の長編でビュー作。内戦中のレバノン、西と東に分断されたベイルート、内戦
が次第に人々に深刻な影響を及ぼしていく状況を少年たちの生活を通 じて描いている。
シリア(1本)
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魂のそよかぜ
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アブドルラティフ・アブドルハミド監督 父はいないが心優しく明るいサミエルは、職場で出会ったマリアンとお互いに一目惚 れ。しかし、マリアンには許婚ユセフがいた。古き良きハリウッド映画を彷佛とさせ
るようなユーモアとペーソスに富むエンターテイメント映画、秀逸な音楽も聴き逃せ ない。
(モロッコ)(3本)
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運命
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ナビル・アユーシュ監督 警察官が500人以上の女性を監禁し、そのビデオを闇で売っていたという現実の事 件をもとに、事件に巻き込まれたカップルが逃亡する姿をスタイリッシュな画面
と軽 快なテンポで描く。従来のモロッコ映画ではタブーとされていた題材に果 敢に取り組 んだ娯楽作。
失われた子供たちの海岸
ジラ-ル・フェリハ-ティ監督
タンジェ近くの塩の産地として知られている海辺の村。過って恋人を殺してしまった ミナが妊娠しているのを知った父親は、妻に妊娠したふりをさせ、ミナの子を妻の子
供として知らせることを決意する。父権制のもとで幽閉されている女たちの姿を静謐 な画と音の中に刻印した作品。
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女房の夫を探して
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ムハンマド・アブデッラハマーン・タ-ジ監督 三番目の妻と三度目の離婚したハッジ。航海するが四度目の結婚は相手が一度離婚し
ない限り許されない。妻を取り戻すために妻の夫探しをするという、いスラーム社会 ならではの矛盾に満ちたハッジの試練が始まる。90年代におけるモロッコ映画再生
の口火を切った大ヒット作。
(アルジェリア)(1本)
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砂漠の方舟
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モハメッド・シュウイック監督 舞台はサハラ砂漠のオアシスの村。異なる民族に属する若い男女が恋に陥ったことを きっかけに、二つの民族の対立が激化し、憎しみ、対抗意識が村を破壊する。監督は
この砂漠の村の寓話に仮託してエスカレートする暴力と民族の対立を痛烈に批判する。
問い合わせ先 : 地中海映画祭事務局 岩崎:エース・ジャパン内 Tel.5562-4422
http://www.jpf.go.jp
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