A. 一般的にアラビア語と言われるものは、古典北アラビア語とされれています。北ア
ラブ地域はイエメンからシリアにわたって広がり、そこでは古くから商業が栄え、都 市文明が発展していました。中でもヒジャーズのメッカは特別の地位を占めていまし
た。
この地で生まれた聖典・コーランのアラビア語は、8世紀後半から文法学者によっ
て、徹底的に純化され、規範化されました。7世紀前半以来、イスラームの広がりに ともなって、北アラビア語の使用範囲は大幅に拡大され、アラブ文明の興隆の中で、
ペルシャ語、ギリシャ語を翻訳導入することによって、その語彙を増やし、イスラー ム世界の文学、学術語として不動の地位を築きました。
アラビア語は、コーランの言語として「正則アラビア語」としての文語(フス ハー)があり、図書、新聞、放送、講演、教科書など、書かれるものは全てこの文語
が用いられ、イラクからモロッコまでの共通語として重要視されています。一方、話 し言葉(アンミーヤ)は、イラク、サウディアラビア、シリア、エジプト、マグレブ
諸国など地方の方言です。 *参考文献:矢島文夫教授からの助言と、平凡社刊『イスラム事典』より
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