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【第19夜】

日本におけるアラビア文字印刷由来記

 日本でアラビア語の印刷ができるのを御存じだろうか? 日本における印刷技術も かなり高度で、オイルショックの後、アラブ諸国の活発だった頃、自動車、電気器具 などノアアラビア語のマニュアルの制作は活発であった。今でも、外務省の日本のPR 誌やアラブ諸国との関係団体の紹介の小冊子などに使われている。  
 アラビア文字は、日本のひらかな、中国の漢字と並んで世界の中でも、書道として 芸術的美しさを持っている。アラビア語は、現在、中東諸国から北アフリカ一帯の広 汎な地域で約2億の人々によって使われている。日常会話はアンミーアと呼ばれる方 言で、大別すると7種類ぐらいあるが、公式の場ではフスハーと言う文語体の正則ア ラビア語が使用され、国連の公用語の一つになっている。もちろん、出版、印刷、放 送などはフスハーが使用されている。    

  アラビア語は、イスラーム文明を支えた言語として古い歴史を持ち、時の流れに育 まれた格調の高さと論理性、表現の豊かさを備えた言語である。とにかく、話し言葉 では東のイラクと西のモロッコでは、東北弁と鹿児島弁ほどの相違はあっても、書き 言葉フスハーは、アラブ諸国のどこでも共通し、理解されていることは素晴らしい。  

  一見、複雑そうに見えるアラビア文字も実際に28文字のアルファベットからなっ ていて、右から左に読み書きされる。文字は独立形のほか、頭字・中字・尾字の結合 形があり大文字と小文字の区別はない。発音の強弱によって太陽文字と月文字に別 れ、 音韻は他言語には無いリズムと響きを持っている。また、名詞・形容詞・動詞は基本 の三語根から派生し、組み合わせ方によっていろいろな意味を持ち語彙がこの三語根 から広がっていく。”海の言語”と呼ばれる所以である。  

  たしか、日本には、戦後インドネシアから、アラビア語の活字がもたらされたこと があったと言う。しかし、インドネシア自体がアラビア文字の使用から、ローマ字に 移ったため、この活字は殆ど使われなかったようだ。

 


  アラビア印刷に必要なアラビア語の活字をアラブから最初に持参したのは、この ホー ムページ「日本・アラブ通信」を開いている阿部政雄であった。1972年の末頃、 親友の矢島文夫教授から「君はアラブとの文化交流に熱心なのだから、今度ベイルー トに行く機会に活字の見本を一式買ってきたらきっと大きな役割を果 たすよ」と勧め られたことがきっかけであった。そこで、翌年1973年の春にレバノンを訪づれた ときに、知人のパレスチナ人の友人に頼んで、印刷会社から5キログラムほどのアラ ビア語の活字(へルーフ)を買ってもらったのを、日本に持ち帰り、東京の印刷会社 に紹介、その語この印刷会社の社長が当時の駐日レバノン大使の紹介を受け、レバノ ンの有力紙に活字をおさめる活字会社と契約し、大量の活字を入手し、かくて日本で のアラビア語印刷が開幕するにいたった。  

  その後、2、3のアラビア語印刷の会社が出来たが、現在でも地道にアラビア語、 ペルシャ語の印刷を続けている西新宿にある(株)中東ビジネスサービスを紹介した い。  

  社長の福島巌氏は1972年頃から、ベイルートのある出版会社の在日駐在員の仕 事をしていたとき、同社が準備していた日本産業の特集記事を企画に協力してほしい とベイルートに招かれた機会に、レバノンの印刷文化やベイルートの観光地としての 魅力にとりつかれ、帰国後、アラビア語の翻訳の斡旋から、次第にアラビア語印刷を 開始することになったという。  

  同社では、現在、高度に技術革新したコンピューターライズ化したMacでのDTP 編集システムを導入、アラビア語の文字をマッキントッシュに入力して、オペレー ター はイメージセッター等を駆使して画面上でレイアウトに沿って編集(DPT=Desk Top Publishing)し、イラストや写真の取込みなどを行っている。このシステムのお陰 で、 たびたび発生する原稿やレイアウトの変更作業も簡単になり、面 付フィルムや印画紙 に出力して即印刷が可能となっている。  

  同社では、アラビア文字による印刷物制作のほか・出版・その他中東ガイドブック 等の発行もおこなている。

株式会社 中東ビジネスサービス     
代表取締役 福島 巌     
東京都新宿区西新宿8丁目5番3号         
TEL (03)3772-1311 FAX (03)3666-4622         
E-mail:chuto@gol.com


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