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【第30夜】

新アラブ千一夜、第4夜でもアラブの歌謡について紹介しましたが、
今回は「オリ エントの明星」と謳われたエジプトの代表的女流歌手
ウンム・カルスームのうちよく知られた歌を3曲紹介したい。

(1) あなた、私の命

歌:ウンム・カルスーム
作詞:アハメッド・シャフィーク
作曲:モハメッド・アブデル・ワハーブ

あなたの瞳はわたしの過去を甦らせ、
去り行きし日々とその痛みを今悔やむ

あなたに会うまでのすべては、虚しい人生
何の意味などあっただろうか

あなたの瞳に、わたしの生命いま始まる

あなたに会うまでのわたしの生命なぞ無に等しく
恋人よ、それは意味なき過去だった

あなたに会うまで、幸など知らなかったわたし
知っているのは、ただ痛みと苦しみの味

今、わたしは命をいとおしむ
この人生失いたくないと悩みが始まる。

あなたに会うまで、求め続けたわたしの幸せ、
わたしの夢を、今、あなたの瞳の中に見る
ああ、わたしの心の生命、わたしの生命にいや優るあなた
長き年月、あなたの愛にめぐり会えなかったのは何故

あなたに会うまでのわたしの生命なぞ無に等しく
愛しい人よ、それは意味なき過去だった

あなたの瞳にわたしの生命はいま始まる

美しき夜、憧れ、大いなる愛
ずっと以前から、わたしの心は探し続けていた。

あなたの優しさ求めるわたしの心を
お願い、少しづつ味わって頂戴。
あなたの瞳を近付けてーわたしの瞳が吸いこまれるほどに
手を差し伸べてーあなたの両手に手を置きたいの、

恋人よ、ここに来てよ、ただそれでいいの。
恋人よ、会わなかった日々がどんな侘びしかったことか。

あなたに会うまでわたしは抜け殻の生命
恋人よ、それは意味なき過去だった

あなたの瞳にわたしの生命はいま始まる

あなたは、私の生命よりも大事なお人
私の夢より美しい あなたの優しさに誘(いざ)なって頂戴
この地上から遥か彼方へ連れて行って
私とあなたをずっと遥か彼方へ 
二人だけ、遥か彼方に行きましょう

愛によって、わたしたちの日々はきっと目覚めるのよ
わたしたちは求めあう夜をすごすのよ

あなたのお陰で、わたしは安らぎの日々を生き、
あなた故に、過ぎにし昔を許し
あなたといれば、痛みを忘れ、
あなたのお陰で、みじめさ忘れたわ

あなたの瞳はわたしの過去を甦らせ、
去りにし日々とその痛みを今悔やむ

あなたの瞳はわたしの過去を甦らせ、
去りにし日々とその痛みを今悔やむ

あなたのの瞳にわたしの生命はいま始まる


(2) わたし待ってます

わたし待ってます
わたしの骨の中で炎が燃えてます。
わたしはほお杖をつきながら、 秒刻みにあなたを待っていたのに、
あなたはやってこなかった。

も恋など二度としたくないわ
あなたは腹を立てているのだろうか
誰かがあなたの心を奪っているのか突き止めたい。
あなたは、あたしが絶望の果てに
あなたは二度と来ないだろうとつぶやかせるのよ。

わたしは自問してみる。
わたしが犯した誤りの報酬とは何だったかと
あなただけが悩みの種なの。

恋など二度としたくないわ
わたしは業火にあえぎ、
頭はくらくら、ただ呆然
息をつめ、あなたの足音を数えるの。
あなたとの短い文のやりとりの言葉を思い出す。
朝な夕なこの気持ちに取り付かれている
わたしを見た人は、お引きづりとささやいているわ。

恋など二度としたくないわ
長い年月、あなたはわたしに誓ったのに、
来る時は、いつも言い訳と下卑た言葉ばかり
ああ嫌な下品な言葉!!
(もう少し優しい言葉をかけられないの)
来てくれてたとしても、わたしの手を握っただけで、
直ぐに行ってしまう
来てくれない時は、”忘れていた”と言い訳ばかり。


(3) あなたは 今でも覚えているの

今でも、あなたを心から信じていると思ってるの?
言葉一つで、過ぎ去りし日々が帰ってくると
今でも、あなたを心から信じていると思ってるの?
言葉一つで、過ぎ去りし日々が帰ってくると
今でも、あなたを心から信じていると思ってるの?
言葉一つで、過ぎ去りし日々が帰ってくると

一目会えさいすれば、愛に満ちたあなたへの思慕が甦るとでも

あなたは今でも覚えているの?
それは昔のことなのよ
あなたは今でも覚えているの?
それは昔のことなのよ

今でも、あなたを、心からあなたを信じていると思ってるの?
言葉一つで、過ぎ去りし日々が帰ってくるとでも

今でも、心からあなたを信じていると思ってるの?
言葉一つで、過ぎ去りし日々が帰ってくるとでも
一目会えさいすれば、愛に満ちたあなたへの思慕が甦るとでも

あなたは今でも覚えているの?
それは昔のことなのよ あなたは今でも覚えているの?
それは昔のことなのよ

わたしの心は涙に明け暮れていた日々。
それがわたしの人生だった。
わたしの心は涙に明け暮れていた日々。
それがわたしの人生だった。
わたしの心は涙に明け暮れていた日々。
それがわたしの人生だった。

当然のようにあなたは何度も
わたしの愛を奪い、 わたしはいつも 涙とともに、
あなたに絶望し忍耐も吹き飛んだ。

わたしの心は涙に明け暮れていた日々。
それがわたしの人生だった。
わたしの心は涙に明け暮れていた日々。
それがわたしの人生だった。
わたしの心は涙に明け暮れていた日々。
それがわたしの人生だった。

ただ言葉、言葉。
今となって、それが残されたものの全て。
わたしの愛はわたしをに傷あとを残して、消え去った。
ただ言葉、言葉。
今となって、それが残されたものの全て。
わたしの愛はわたしを傷あとを残して、消え去った。

暗い夜にわたしを悩ましたものは、朝の光を浴びて消えて行った。

今、あなたが、愛と優しさと情熱について
わたしに尋ねたら、
それはみな過ぎ去った昔のことと言うわ

あなたは今でも覚えているの?
それは昔のことなのよ あなたは今でも覚えているの?
それは昔のことなのよ

あなたは苦しみもがくわたしを見て
楽しんでいた。あなたの残忍さと虚しい日々が生んだ
苦しみなのに。
あなたはわたしの”ああ”という溜息を音楽のように、
聴きいっていた。

わたしの愛を次第に溶かした炎、炎。
あなたはわたしの苦しみを楽しみ、
残酷に振るまい、
わたしの愛に感謝すらしなかっ た。

ああ、ああ、ああ。

あなたは、あなたに思慕する暗い悲しみの夜をからかうように口にした。
その夜とても、わたしにとっては尊い人生なのに。

わたしは疑いや涙の意味を問いただそうと心に決めた。

わたしが悶え、混乱している姿を見て、あなたが楽しんでいる時、
あなたを思い続けるわたしの暗い夜のことふざけ半分で語った。

言って頂戴。今、あなたはもう終りが来たことに気付いているでしょう。
あなたはわたしから何をお望みなの? 
あなたはわたしの愛を求めて やってきたの。
それともわたしの涙と苦しみをのぞきにきたの。

二人の愛は「昔、昔の」物語なの。

あなたがわたしに尋ねたら、わたしは言ってあげるわ。
それは昔のことよ。
あなたはまだ覚えているの?
それは昔のことよ。



代表的な歌は「エンタ・オムリ」(あなた、わが生命」です。
この作曲者が故モハメッド・アブデル・ワハーブという
日本の古賀政男に当る大作曲家で、
事実古賀先生は1965年パリ訪問後にカイロを訪問され、
ワハーブ氏と歓談 されています。
(その斡旋をしたのは、当時エジプト大使館文化部にいた小生です)


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